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モザイコ ヒドゥラウリコ
 −油圧タイル
 
ポルトガルのカフェや商店、またはホテルのバスルームなどで、幾何学模様や花柄やアール・ヌーヴォースタイル...
などのカラフルなタイルの床を見かけることがあります。しかしこれはポルトガルの有名な伝統工芸のアズレージョでは
ありません。
これは19世紀中頃から、フランスやスペイン、ポルトガルやそれらの国の植民地で作られ始めた「油圧タイル」と呼ば
れる大理石とセメントで作られた伝統的なタイルです。
ポルトガルでは現在もこのタイルが職人の手によって一枚一枚手作りで作られています。
とても面白い工程で作られるという事を知り、ぜひ一度この目で見てみたいとエストレモスにある工房を見学して来ました。

工房を訪ねた時は受注したタイルの製作の真っ最中。親方のルシオさんと二人の職人さんの三人でせっせと作業をされ
ていました。
この油圧タイルは一辺の長さが20センチ、重さは1.5キロもあります。
水で溶いて着色したアレンテージョ産の大理石の粉を金型に流し込んで模様を作り、セメントを振りかけプレス機で圧縮し
ます。圧縮されるとセメントの粉は大理石の水分を吸収し固まります。このタイルを21日間自然乾燥されば堅くて丈夫な
タイルの出来上がりです。
工房にあるたくさんの金型(時にはフリーハンドも)や様々な色の組み合わせで、無数のバリエーションのタイルを作る事
が出来ます。
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 古いお屋敷の床のタイル  レンガ作りの小さな工房を訪ねて  ズラリと並んだ圧巻のタイルの見本

 

 油圧タイルの作業工程
 

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 水で溶いて着色した大理石の粉を型に流す  型に流し終わったところ  型を素早く引き上げると模様が出来る

 

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  上からセメントを振りかけ  表面をならし 蓋をのせて 



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 プレス機で圧縮しているところ  タイルが出来ました  3人で息の合った流れ作業



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 木枠に立てかけ自然乾燥  壁に並ぶ金型  大理石の粉
金型には伝統的な唐草模様や幾何学模様、アールヌーヴォー調の物から注文に応じて新しく作られたポップな物まで
様々なパターンがあります。金型を使う他に、フリーハンドで木目調や御影石の模様などを作る事も出来ます。
 
この天然素材で出来たタイルは数十年かそれ以上の耐久性を持ちます。このような手作りの芸術作品とも言える物を
使って家が飾られるポルトガルは羨ましいなと思いました。
 1946年生まれのルシオさんは子供の頃から油圧タイルの工房で働きました。それから勤めていた工房が閉鎖に
なったり、あちこちの工房で苦労をしながらタイル職人としての腕を磨き、23歳で自分の工房を持ち現在に至ります。
工房には若い職人さんもおられ、まだまだこの伝統技術は継承されていくのだろうとうれしく思いました。

*Bonito★ぽるとがる『エストレモスのタイル工房 2011年冬・ポルトガル旅行記』←工房を訪ねた時の記事です
 
 
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