Jorge Colaco ジョルジェ・コラソ・2 −アズレージョ作家、画家
<カーザ・ド・アレンテージョ Casa do Alentejo(1919)>
リスボンの繁華街・バイシャ地区、ドナ・マリア2世国立劇場の裏手に、観光客向けのレストランがひしめく通りが
あります。夜になればメニュー片手に客引きをするウェィターや、通りに並んだテーブルで食事をする観光客で大
賑わい。そんな賑やかな通りにありながら「アレンテージョ会館」はあまり人目を引きません。しかしここはリスボン
の隠れた美しい観光スポットのひとつです。素っ気ない外観の入り口をくぐれば、中には思いもよらぬ幻想的な空
間が広がっています。私はあまりにも外観と内部のギャップの大きいこの建物が大好きです。そしてこの建物にも
ジョルジェ・コラソのアズレージョは飾られています。
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素っ気ない外観 |
中へ入るとアラブ風の中庭 |
イベントホール |
この建物は元々貴族の屋敷として17世紀に建てられました。その後所有者も変わり、20世紀初頭にカジノ「マジェス
ティッククラブ」として開業しました。そして屋敷の内部も改築され現在見られる姿になりました。
1928年にはそのカジノも閉鎖され、1932年にアレンテージョ地方協会の所有となり、名称も「カーザ・ド・アレン
テージョ」となりました。現在はアレンテージョ地方の料理が味わえるレストランやイベントホールとなっています。
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アレンテージョ地方の祭りの様子 |
水を飲む農夫 |
ジョルジェ・コラソのアズレージョはレストランとサロンに飾られています。特にレストランのアズレージョは、アレンテー
ジョ地方の農民の姿にインスパイアされて描いた作品として知られています。コラソは生涯に多くの優れた作品を
残していますが、中でも農民をテーマとした作品は実に生き生きと描かれています。祭りで踊りに興じる人々の姿は
民族衣装の細部まで描き込まれ、暑いアレンテージョの空の下、桶から美味しそうに水を飲む農夫の姿には、
農作業の合間にほっと息をつき喉を鳴らす音まで聞こえてくるようです。コラソ自身、農民や農村生活というものに
親近感を抱いていたのではないかなと感じました。
また、一般的なアズレージョは表面がつるっとした光沢のある陶器特有の物ですが、この作品のタイルの生地には表面
に布目の跡がつけられています。釉薬の光沢が抑えられ、まるでキャンバスに描かれた絵画のように見えます。
私はこの作品はアズレージョで油彩画を再現して見せたのだと思っています。
ポルトガルの有名な陶磁器メーカーのサカヴェン社に在籍していたコラソは、アズレージョの製作に陶磁器の様々な
技術を用い、時には版画などに使われるシルクスクリーンの技法も取り入れていたと言われます。
コラソはアズレージョの表現の可能性を大きく広げた人だったのだと思います。
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タイルの表面に布目が付けられています |
繊細な筆使いが再現されています |
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コラソのアズレージョに囲まれたレストラン |
サロンのアズレージョはハンティングがテーマ |
★歩きまくり<Casa do Alentejo アレンテージョ会館> ←会館内の美しい写真をたくさん公開♪こっちも見てね