<Vila Verde (Minho 地方) * Lencos de Namorados >
恋人たちのハンカチ
ミーニョ地方はポルトガルの北西部にあり、初代ポルトガル王が誕生したギマランエスやブラガなど古い歴史
のある地域です。
そのMinho地方に伝わる「恋人たちのハンカチ」を求めて、ヴィラ・ヴェルデの工房、アリアンサ・アルテザナル
を訪ねました。
ヨーロッパには古くからハンカチを持ち歩く習慣がありましたが、17〜18世紀頃ミーニョ地方において、婚約
成立の証にこの「恋人達のハンカチ」が作られると言う面白い風習が出来ました。
男性が恋人にハンカチを作ってくれるように頼むと(プロポーズ)、承諾した女性はこのハンカチを作り、出来
上がったハンカチを男性が首に巻いたり腰に下げたりすると、周囲に婚約者として認められます。
(この婚約中の女性は、モルドマMordomaと言う、ミーニョ地方独特の言葉で呼ばれます。)
また、このハンカチは、女性が祭りの行列や結婚式の時に持つパルミトPalmitoと呼ばれる、紙やとうもろこし
の葉で出来た花束の手元を包むのにも使われます。
そして時が経ち、その女性が亡くなった時、その顔はこのハンカチで覆われました。
このハンカチはおよそ50センチ四方の大きさがあります。
当初は赤の単色か赤と黒のクロスステッチで幾何学的にデザインされていましたが、20世紀に入る頃から
カラフルな刺繍糸が使われるようになり、現在の「お絵かき」のようなフリーステッチのスタイルに落ち着いたのは
それ程昔では無いでしょう。
そして刺繍されるシンボルにはそれぞれ意味があり、恋文に沿った内容のモチーフが選ばれます。
以下、代表的なモチーフです。
花と枝 : 愛の世界
クローバー、ハト : 恋人の優しさ
犬 : 忠誠心
ハートと鍵 : 心を開くもの、または閉じるもの
聖骨箱 : 神聖なる愛
名前、出身地、年代...
などがあります。
また、昔の女性は学習の機会が少なかったので、綴りを間違えて(又は方言の通りの発音で)刺してしまう事があり
ました。
面白いのは、現在作られている作品にも、わざとその間違えたままの綴りで刺されている物がある事です。
その拙さに愛しさを感じているのでしょうか。ポルトガル人のユニークさが垣間見られるようです。
現在このハンカチは、古いデザインの復刻版やオリジナルデザインの物が盛んに製作されています。
ヴィアナ・ドカステロのお土産屋さんなどで手に入れば、ミーニョ地方の楽しいお土産になりますね。
Nossa amizade ha-de acabar
cando(quando)
esta pomba buor(voar)
※綴りはカッコ内が正解
このハトが飛び去る時、
私達の友情は終わります。ハト(優しさが)無くなれば愛も
終わります...
Aqui tens meu curacao (coracao)
E a chabe pro (chave para o) abrir
Num (nao) tenho mais que te dar.
Nem tu mais que me pedir
これは私の心を開く鍵です
あなたにあげられる物は
これより他にありません
これは古い時代のデザインです。書かれている言葉は古過ぎて、現代のポルトガル人にも分からないという事でした。 ひとつひとつの模様が細かいステッチで描かれています。本番の前に、何度もステッチの練習をしたそうです。 当初シンプルだったステッチの色数がだんだん増えてゆき、後に上の写真のようなデザインへ変化したと思われます。
大判のスカーフはとても手が込んでいて見事。(これが元々のサイズです) 工房では伝統の織物も織られていて、織機が何台もありました。子供向けの教室も開かれています。 ハンカチモチーフの商品も開発!
これはスープ鍋の形ですね。
カワイイ!!